南洋戦・フィリピン戦国家賠償訴訟の進行協議が行われた

 6月19日、南洋戦・フィリピン戦国家賠償訴訟の進行協議が行われた。この訴訟は、今年1月、那覇地裁で原告が敗訴。この結果を不服として40人が福岡地裁那覇支部控訴していた(2月)。まだ、弁論は始まっておらず、今日は、裁判所と双方の弁護士が裁判の進め方について協議する「進行協議」の日だった。通例、進行協議では、原告は入れないが、今回は、14人の原告の傍聴を裁判所が認めた。とはいえ、裁判所が原告の被害にたいする深い理解を持ったというわけではなく、一定のポーズと見るべきだろう。瑞慶山原告弁護団長は、高裁でもベストを尽くすが、むしろ、最高裁の方が勝てる可能性があるという。
 この日、法廷が開かれるわけではないのに、沖縄戦訴訟の原告を含めて34人が裁判所に集まった。
 9月3日にもう1度進行協議あり、裁判の基本的方向を確認する。初回の口頭弁論は、10月3日に開かれる。その後の裁判期日の予定も決まり、10月17日、11月1日、12月18日が設定された。瑞慶山原告弁護団長は、原告は高齢であり、早期の判決を求めたいとしている。
 今回の進行協議で、裁判所に何を知りたいかを確認したところ、日本軍による本来の軍事行動からの逸脱行為に関心を持っていると話していたという。
 日本軍による民間人の壕からの追い出しなどがこれまでにも証言されているが、追い出された直後に射殺されたとか、艦砲射撃でなくなったとか、そこまで明確にならなければ、裁判所は「壕から追い出されて亡くなった」とは認めないという。1審で被害について一定程度認められているが、そこをもっと深く解明していくことが、裁判の勝負どころの一つになるという。
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 今年、7月14日~16日の3日間、戦場体験放映保存の会と沖縄・民間戦争被害者の会が「私は沖縄・南洋戦で何を失ったか」をテーマに体験談パネル展を沖縄県立博物館・県民ギャラリー2・3で開催する。
 パネル展の一画では「戦争被害の元子供たちを囲むゆんたく」が行われる。パネル展が開催される期間、1時間程度のゆんたくを1日3回(午前10時30分、午後1時、午後2時半)、計9回行う。沖縄戦・南洋戦の原告には、出席できる日を聞くはがきが送られていた。被害者が当時の状況や苦難を語り合い、パネル展を見に来た人たちとも話し合う場にするという。
 関係者の一人は、「高校生が来てくれることを期待している」といい、開催の趣旨に賛同する校長もいると話していた。
 7月14日には、「地上戦の民間戦災者はなぜ放置されてきたか」をテーマに、沖縄戦・南洋戦被害国家賠償訴訟原告弁護団団長の瑞慶山茂弁護士による講演も行われる(午後4時15分、沖縄県立博物館・美術館講座室)。