活断層の上に基地 クローズアップされた辺野古新基地建設の問題点

おことわり いままでmachikiso's blogで書いていたが、どういうわけか、記事を書くことができなくなったために、このokicea079607's daiaryを使うことにしました。過去に書いた記事も読めるようにしたいと思いますが、とりあえず、辺野古新基地関係を貼り付けます。

 

 活断層の上に基地 クローズアップされた辺野古新基地建設の問題点

                         2018年4月8日 

 4月7日、沖縄県市町村自治会館で「3・13判決は何を審判したのか 活断層の上に基地!?」と題する緊急学習会が、辺野古訴訟支援研究会の主催で開かれた。検査で出席できなくなった翁長雄志知事に代わり、4月から副知事に就任した謝花喜一郎氏があいさつし「環境保全措置について看過できない事態があれば躊躇することなく必ず撤回をおこないたい」と知事のメッセージを伝えた。
 県の訴訟を担当する松永和宏弁護士、仲西孝浩弁護士が工事差し止め請求を棄却した那覇地裁判決の問題点について解説した。
 琉球大学加藤祐三名誉教授が、工事海域の断層が活断層であると推定される根拠について説明した。加藤名誉教授は、辺野古断層の延長線上の海底の地質図を示しながら、「沖積層が切れている。そうであれば活断層である。画像処理をしていない元データを見たい。15メートルくらいの落差になるが、これは日本最大の内陸地震である濃尾地震は6メートルくらいしか切れていないことからすると、何回も切れていることになる」と、この地域で繰り返し大きな地震が起こった可能性にも言及した。
(注:根尾村水鳥(みどり)地区での根尾谷断層は上下差6m横ずれ量4mにも及んでいる)
 行政法が専門の琉球大学徳田博人教授は、行政処分の撤回には「制裁型」「要件消滅型」「公益型」の3つがあるとし、▽制裁型は、相手方の法令違反等を理由として行うもので、損失補償は必要が無い▽要件消滅型は、埋め立て承認後に埋め立て承認の要件を満たす事実がなくなったことを理由に行うもので、相手方の瑕疵などが出てきた場合は補償が不要となる方向へ動く▽公益型撤回は、埋め立て承認後に行政側の都合により撤回するもので、公益の内容や我慢の範囲内かなどにより損失補償が検討される―と説明した。
 徳田氏は、軟弱地盤の問題や活断層の問題で撤回を行う場合、二つ目の要件消滅型になるとみる。
 「軟弱地盤の問題やあるいは活断層の問題は、仲井真知事が埋め立て承認した時に、事実としてこれほどピックアップされていなかったんですね。審査も形式的にしか処理されていません。埋め立て承認というのは二つの法律的な性格がありまして、当初は土地をどんどん広げていこうと、土地拡大のための法律でした。しかし昭和48年に公害悪化とかきれいな水が守られない、生物多様性が復興できないということで、環境や安全性の観点から厳しくチェックをいれてくださいよ、こういう法律に転換されます。いわば安全であるかどうか疑いがあると、できるだけていねいな調査をしてください、こういうふうに法律のしくみが転換するんですが、仲井真知事が埋め立て承認をした段階では、さきほど加藤先生がおっしゃったようなことを認識していなくて、現在、認識されている段階で、本来であればていねいな調査と事実を公表して、専門家の意見を聞いて、議論はここまでいっていますよと。ここを見ていく必要があります」。
 ただ、「後発的瑕疵等で安全性の観点から撤回せざるを得ない場合、損失補償のない方向になる」と指摘する。
 「今回の活断層問題とか軟弱地盤の問題は、その後の事情によってこれは中止をしたり調査をしてください、あるいは科学的にある程度、事実、環境に与える著しい影響を与えるだろうということが明らかになった場合には、撤回まで行くと思いますけれども、要件消滅型になるだろうと。ただし今まで沖縄防衛局がやったことはどういうことかいうと、たとえば埋め立て工事をする場合には、設計図をつくったときに、本当にその設計通りに工事をして安全かと実施設計で調査をするわけです。本来であれば、全部の図面を調査して安全が確保されて初めて工事を実施するんですが、それで初めて協議しなさいとやるんですが、一部だけ実施計画してまだ終わっていない、協議が整っていない段階で、工事を進めていく。さきほど、いろんな問題があるのに、もっとていねいな事実を提出してください、あるいは一時期調査をするので工事を止めてくださいと指導している。岩礁破砕や軟弱地盤の問題で、専門家がいろんな疑問を呈しているわけです。もっとていねいにしてくださいと言っているにも関わらず強行に工事を進めると、いわば要件消滅型の撤回の性格から、制裁型の撤回へと性格を持つんだろうと私は思っている」
そして、「沖縄県は、政府が行っている事実の隠ぺいをあぶり出しながら、一つひとつ科学的な方法で撤回の事実を固めようとしていると思っている」と県の対応についても前向きの評価をした。

県民投票条例制定求める運動が始まった

 沖縄県で県民投票条例をつくるための条例制定請求署名運動が昨日(2018年5月23日)から始まった。運動期間は、2カ月間。県の公報に掲載された「告示」では「地方自治法施行令第91号第2項の規定により、次のとおり辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例制定の請求に係る沖縄県制定条例請求代表者証明書を交付した」という文面になっており、翁長知事の署名がされている。

 請求代表者は33人。県民投票の会の代表である元山仁士郎氏(一橋大学院生)、顧問の呉屋守将氏(金秀グループ会長)、副代表の安里長従氏(行政書士)、同じく副代表の新垣勉氏(弁護士)らが名を連ねている。

 この県民条例制定のタイトルが「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例制定」となっているように、辺野古米軍基地(沖縄県名護市)建設にイエスかノーかではなく、新基地建設に伴う大浦湾の埋立にイエスかノーかを問うもの。基地建設に反対か賛成かを問う住民投票なら、「基地は国策」との一言で相手にされなくなるが、一歩引いて(?)、大浦湾を埋め立てて基地を造るのはいかがかということであれば、場所の選定の適否を問うのであるから、国も頭から否定はできないという理屈である。たとえば、松尾芭蕉の「松島や ああ松島や 松島や」の松島を埋め立てて基地を造りますか? という問うことと同じである。

 条例制定を求める署名が沖縄県の選挙人名簿に記載のある人の50分の1の署名が集まれば条例制定を本請求することができるから、約2万4000人の署名が必要要件である。県民投票の会では、署名集めをする資格を持つ受任者が現時点で700人。会は、有権者の1割にあたる11万5000人を目標に掲げる。しかし、受任者が700人のままなら、受任者一人につき30人の署名を集めれば、2万1000人だからどうにか50分の1に届くだろうというのが現時点の到達だとみてよい。県民投票が社会的に訴える意味を強く持つには、これから受任者を数倍に増やせるかにかかっている。

 署名運動が終了したら署名簿が県に提出され、各市町村の選挙管理委員会有権者であるかどうかのチェックをし、有効署名数を確定する。有効署名数が50分の1の要件を満たせば、条例制定の本請求を知事にたいして行います。知事は、知事の意見をつけて、県議会に条例案を提出することになります。

 県民投票の会の条例案では、条例が制定されてから6カ月以内に県民投票を実施するとし、その期日は知事が定めるとしています。一般的には、県民に県民投票の意義を伝えるためには、6カ月くらいは必要といわれています。

 もう少し、県民投票がいつになるか、絞り込んでみましょう。

 条例制定は県議会がおこないますので、まず、県議会の日程を見ましょう。当面する6月議会は、日程が確定していませんが、6月14日前後に始まり、7月6日前後に終わるとみられます。署名運動期間の終了は7月23日なので、6月議会での条例制定はありません。あとは、臨時議会の招集(8月)か、9月の定例会ということになります。

 最短の臨時議会が開会され、可決成立となった場合、投票の準備と周知に2カ月を確保すれば、10月ですので、沖縄で9月に行われる統一選挙(42市町村の約半数で選挙が行われる)と同時に県民投票を行うことは、非現実的ですが、11月に行われると予想されている知事選には、間に合いそうです。

 しかし、臨時議会は、この5年間でみると、日程が1日か2日しかありません。もっと日程がとれれば臨時議会での可決はかなり現実的になりますが、どうでしょうか。与野党の駆け引き次第では、臨時議会では1日、2日程度の開会しかできず、結論を得ることができず、9月の定例会にもつれることも想定されるでしょう。おそらく、自民党は、署名数が少なく、投票率も低いだろうから、税金の無駄遣いになるとか、少なくない市町村が協力しないなどの疑問を羅列し、時間稼ぎをするでしょう。採決に至るには、それなりの時間を要するでしょうから。

 そう考えれば、知事選に間に合うかどうか、微妙というべきでしょう。

 県民投票の意義を否定する人は、そう多くはないと思います。しかし、県民投票をなぜ、いまやることについては、激しい議論があります。

 大浦湾の埋立承認の知事撤回は直ちにやるべきで、県民投票はその知事判断を縛ることになるから、今、県民投票を行うことには反対という意見があります。辺野古の護岸工事は、6月中には囲い込みができ、土砂の投入が7月には始まるとみられており、土砂投入前に知事の撤回で、工事を止めてほしいということが根本にあります。

 その点について、県民投票の会は、「(県には)準備を急いでもらうのが最善です。県は、撤回は重要な切り札であり、裁判を見据えて、しっかりと準備をしたうえで撤回の準備を急いでいます。撤回は時間稼ぎでのために行われるのではなく、埋め立てを根源で断つことが目的ですので、早く準備が整うように支援することが重要です」「もし沖縄防衛局が前回と同じような(執行停止の)申し立てを行わなければ、最大で判決が出るまで約7カ月止まることも考えられます」としています(もうちょっと知りたい「県民投票QアンドA」5月23日版)。

 名護市長選に新基地建設反対の市長が敗れたことから、今度の知事選は非常に厳しいということから、「運動を知事選に絞るべきで、県民投票をやっている場合じゃない。知事選に負けたらそれこそ、政府は一気呵成で工事を進めてくる」という強い意見が出されています。

 県民投票の会のこれまでの議論では、その点について突っ込んで検討されてこなかったようで、「会の中でもさまざまな意見があり、条例制定後のことまで考えることはできない」ということでした。ただ、県民投票の会が作成した最新のQアンドAで「最大で判決が出るまで7カ月は止まる」としている点に着目すると、知事の撤回が仮に9月になれば、3月の判決ということになりますので、県民投票が11月知事選に間に合わなくとも、2月までに県民投票が行われれば、裁判に県民投票が一定の影響力を与えることができるという考えが導けます。

 県民投票の実施時期は知事が決めるというのが条例案ですので、翁長知事が知事選と同時を選択するか、知事選後を選択するかということになりますが、知事の撤回の時期が9月ころで、「判決がでるまで7カ月」あることを前提とすれば、知事選後でも県民投票が生かされます。

 知事選で民意を示しても、国がなお工事強行をする。これは、にたいし、知事選後の県民投票で改めて国に対し抗議の声を上げる。高江のオスプレイパッド建設強行は、参院選伊波洋一さんが圧勝した直後におこなわれました。全国から機動隊を動員して、300人ともいわれる機動隊の暴力で、高江から抗議車両を撤去し、抗議する市民を排除しました。こういう体験をした沖縄県民です。辺野古でも、知事選に国が負けてもなお辺野古の工事を強行するでしょうから、これをとめるために、県民投票があるのだからこれをたたかいの武器にしようと、流れが自然にできるのではないでしょうか。

 翁長知事はよく、「祖先の苦労に比べたらいまの沖縄の苦労はたいしたことはない」と、自身と県民を鼓舞してきました。知事選で大変な苦労を重ねながら翁長県政を「守り抜き、その直後の県民投票ですが、子や孫に200年も使える新基地を受け入れ、我慢させることはできない、沖縄の未来にかかわることだから、どんな苦労もいとわないという県民のたぎる思いが、大きな溶岩流になるのではないでしょうか。

 辺野古でも知事選結果を無視して工事を強行し、国勝訴の判決をとって、一段と工事を加速させる心胆でしょう。この国の出方にたいし、県民は、2の矢の県民投票で国に立ち向かうとなれば、あることが明確になっていくことでしょう。